水の神様 『水質管理”虎の巻”』

わしが、水質管理の極意を皆に伝授するぞ!

水泳は誰もが自分の体力に応じて楽しむことのできる素晴らしいスポーツなのじゃ。
しかしながら、プールの水は、人の体についた汗やアカ、ほこり、ウィルスなどによって、実はとても汚れやすいんじゃ。
多くの人達の健康を守るためには、プールを安全に、しかも清潔に保たなければならんのじゃ。
そのためには必要なのは、『正しいプールの安全対策と衛生管理』
ここでは、「正しい衛生管理」について、”水の神様”のノウハウを分かり易く伝授しておるのじゃから、しっかり身につけるんじゃぞ。

正しい衛生管理の方法

衛生管理の基本は、プールの水を汚さない、ということじゃ。
とはいえ、人の体には汚れがいっぱい。人が利用するプールじゃから、汚れるのは仕方のないことでもあるんじゃ。
だからこそ、プール水の殺菌・消毒が重要なのじゃ。
プールや飲料水の殺菌・消毒には塩素剤を利用するのじゃが、これは非常に殺菌力が強い薬品じゃから、ちゃーんとした知識を持ってのぞまにゃならんぞ。

プールの汚れの原因


プールの水が濁ったり汚れたりする殆どの理由は、人の体についた汚れが原因なんじゃ。
目に見える汚れより、体についた菌やウィルスなど、目に見えない汚れの方が恐ろしいんじゃぞ。
繁殖力・生存力の強い大腸菌やプール病を引き起こすアデノウィルスなどは特に要注意じゃ。
 

プールに潜む菌

アデノウィルス

【アデノウィルス】プールでうつる病気の中で最も危険なのがアデノウイルス感染症じゃ。 アデノウイルスは人の便、のど、目などからプール水中に持ち込まれ、夏風邪に似た症状を引き起こすんじゃ。プール病やプール熱と呼ばれる「咽頭結膜熱」は、 このアデノウイルスによる感染症のことなんじゃ。
アデノウィルスは抵抗力が非常に強く、36℃で7日間、22℃では14日間位は感染力が落ちないといわれおるぞ。
昔はアデノウィルスどころかプール熱というのも知られておらんかったのじゃが、医学の進歩で感染症ということが判明したというわけじゃ。
アデノウイルスに感染すると症状が出ないまま過ぎることも多いんじゃが、いろいろな症状が単独または複合して発生することがあるから要注意じゃ。

大腸菌

【大腸菌】大腸菌は誰でも体内にもっている腸内細菌じゃ。普段は無害じゃが、血液や尿路系に侵入した場合には毒素を排出し、深刻な症状を引き起こすことがあるあなどれない菌なのじゃ。
大腸菌には多くの種類があるんじゃが、中でも病原性大腸菌と呼ばれる「O111」や「O157」などは腸管出血性大腸菌で、とても恐ろしい大腸菌じゃ。

こうしたプール病や伝染病を予防し、プールを衛生的に保つためにも、文部科学省学校環境衛生のプール水質基準が定められておるのじゃ。では、いよいよプールの衛生管理について伝授するとしようかの。

プールの消毒殺菌には「塩素系消毒剤」を利用します

プールの消毒殺菌剤

プールの汚れを浄化し、アデノウィルスや大腸菌などを死滅させるための消毒・殺菌剤として使われるのが塩素じゃ。塩素は水道水にも使われておって、これにより世界中からコレラという病気が激減したんじゃよ。
プールも水道水と同じく、塩素で消毒をするのが効果的なんじゃ。

プールの消毒・殺菌に使われる塩素剤は、大きくわけると無機系と有機系の2種類があるんじゃ。それぞれに特徴があるんじゃが、どちらもプールの水をキレイに清潔にするためには無くてはならないものなんじゃ。塩素系消毒剤を水に溶かすと次亜塩素酸(遊離残留塩素=HOCL)というものが発生するんじゃが、これが強力に消毒・殺菌をしてくれるんじゃ。
遊離残留塩素(HOCL)は、プールの水1リットルあたり0.4mg~1mgの濃度を維持することが決められておって、その位の塩素が水中にあると、大腸菌やアデノウィルスの繁殖を防いでくれるというわけじゃ。
しかしながら、遊離残留塩素は紫外線に弱い上に、プールの汚れと化学反応をおこしてとどんどん減ってしまうんじゃ。だからプール使用時はこまめに塩素系消毒剤を投入し、1時間毎に遊離残留塩素濃度を測定しなくてはならんのじゃよ。

これらの塩素系消毒剤をプールに投入するには、直接プールに薬品を投入する方法と、循環ろ過システムを利用して滅菌器などから連続投入を行なう方法を併用するのが望ましいとされておるんじゃ。

【無機系塩素剤】
無機系の塩素剤には、「次亜鉛酸カルシウム(固形)」や「次亜鉛酸ナトリウム(液体)」があり、有機系のものに比べて殺菌力に即効性があります。プールに投入するとすぐに効果が出るので遊離残留塩素濃度をコントロールし易く、有機系に比べてコストが安いのが特徴です。
有機系に比べると紫外線に弱いので、1時間毎にプールに直接投入するのが良いでしょう。

 ■無機系塩素剤商品例 : 日曹ハイクロン     

【有機系塩素剤】
有機系塩素剤には「塩素化イソシアヌル酸」があります。無機系塩素剤に比べて殺菌効果に即効性は無いですが、紫外線に強いので水中での持続性があるのが特徴です。塩素の含有量によって、「トリクロロイソシアヌル酸」「ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム」「ジクロロイソシアヌル酸カリウム」の3種類にわかれ、トリクロロとジクロロではトリクロロが溶けにくく、カリウム塩とナトリウム塩ではカリウム塩の方が溶けにくいため、説明書等を読み、必ず使用方法を確認しなくてはなりません。

 ■有機系塩素剤商品例 : ペースサンニュートラル

*残留塩素について (遊離残留塩素及び結合残留塩素)  
残留塩素とは、塩素消毒の結果、水中に残留した殺菌力を有する形態の塩素のことをいい、そのうち次亜塩素酸(HCLO)や次亜塩素酸イオン(CLO‐)の形態で存在するものを遊離残留塩素、これらがアンモニアや有機性窒素化合物等と反応した結果生じたものを結合残留塩素と呼んでいる。
総残留塩素=遊離残留塩素+結合残留塩素

遊離残留塩素濃度の管理

プールの遊離残留塩素測定位置

遊離残留塩素の濃度を測定することが大事だということはわかったかな?次は遊離残留塩素濃度の測定法とコントロール法について教えよう!

まず、遊離残留塩素は、プール内の対角線上の最低3箇所で測定しなくてはならん。水面下20㎝くらいの循環ろ過装置の取水口付近の水を採取して測定するんじゃ。
1時間毎に水をとって遊離残留塩素濃度を確認せにゃならんから、これは結構大変じゃぞ。

採取した水の残留塩素濃度を測定する方法には、以下の4つがあるんじゃ。

 (1) DPD比色法  (2) DPD吸光光度法  (3) 電流滴定法  (4) ポーラログラフ法

どれも何やら難しいそうな名前じゃな。でも大丈夫。(1)と(2)は試薬を水に入れて色を見るだけなので簡単じゃぞ。確かに、(3)と(4)は少々専門的なので、毎日頻繁に測定するならば(1)か(2)がおすすめじゃ。(しかも、コストも安いんじゃ)
ここでは(1)のDPD比色法について簡単に説明するとしようかの。

DOD試薬・測定器

DPD比色法とは、ビーカーなどの容器で採取したプール水にDPD試薬という薬品を混ぜ、変化したプール水の色を確認する測定法じゃ。このDPD試薬をプールの水に入れると、薄い桃色~濃い桃色まで水の色が変化するんじゃ。その色の濃さによって残留塩素濃度がわかるという仕組みじゃ。上の写真で真中の残留塩素測定用とある丸い桃色のサンプルと比較するんじゃよ。
最近はどんどん簡単な測定試薬もあるようじゃぞ。メーカーさんのホームページを参考までに記載しておくとしよう。
 DPD法 遊離残留塩素測定用試薬(協力:㈱アクトライズ)

そうそう、この時に測定した濃度をプール管理日誌に記載するのを忘れんようにせにゃならんぞ!

正しい日常の衛生管理

プール管理日誌

学校プールでは、安全管理・衛生管理の目的から毎日プール管理日誌をつけることが義務付けられておるんじゃ。プール管理日誌には色々なフォーマットがあるが、記載する必要項目は定められておるから、項目の漏れがないものを使用せねばならん。
詳細は各都道府県や教育委員会に問い合わせるのが良いじゃろう。ちなみに、各都道府県のプールに関する条例や通達は、このサイトの「法規一覧」ページでも確認できるぞ。

プール管理日誌(A4サイズ)

プール管理日誌には、遊離残留塩素濃度の他にも次のような項目を記載する必要があるので、忘れずにチェックするのじゃぞ。

 ・気温  ・水温  ・入泳人数  ・pH値  ・透明度  ・付帯設備の異常箇所等

スーパークロリネーションの活用

毎日きちんと消毒・殺菌剤を投入しておっても、プールに入る人数が多くなったりすると汗や尿で水中のアンモニアが増え、水質が悪くなることがあるんじゃ。水が濁っていなくても、目がしみるなどの痛みを感じる時は、大体アンモニアが増えている時なんじゃよ。
そんな時に行なうのがスーパークロリネーションじゃ。
どうじゃ?スーパーとつくところがいかにも効きそうじゃろ?
このスーパークロリネーションは、一時的に通常よりも遊離残留塩素濃度をあげ、アンモニアを分解させて水をキレイにすることなんじゃ。
方法は簡単じゃ。いつもよりも多くの塩素系消毒殺菌剤をプールに投入するだけじゃ。
ただ、残留塩素濃度が高くなっておるから、人がプールに入る直前などは避けなければならんから、できればその日の最後のプール授業が終わった後に行ない、循環ろ過システムを夜の間に動かしておくのが良いじゃろう。
 

 

水の神様

 

どうじゃ?
プールの水質管理も、一つ一つきちんと行なえば難しくはないじゃろう?
子供たちが安心してプールに入れるよう、また、プールをもっと好きになるよう、日々の衛生管理を怠ってはならんぞ!

プールの水質管理でわからないことがあれば、遠慮なく相談するのじゃぞ。
では、ごきげんよう。。。

 

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